前回の記事では上水道でよく使われる「ダクタイル鋳鉄管」「高密度ポリエチレン管」について説明してきました。
今回は、その下水道編になります。
下水道においてよく使われる水道管は「ヒューム管」と「硬質塩化ビニル管」の2種類となっていますので、その2つについて、簡単に解説していこうと思います。
ヒューム管とは?
ヒューム管とは、鉄筋コンクリートで作られた管のことです。
遠心力の作用で作られていて、非常に強度が強い構造となっています。
なぜ鉄筋コンクリート管をヒューム管と呼ぶのか、ということについてですが、これは考案者であるオーストラリア人のヒューム兄弟に由来します。
製法自体は1910年に考案され、日本では1925年頃から製造が開始されました。
このヒューム管を下水道管として使用するメリット(長所)としては、とにかく丈夫で長持ち!ということくらいでしょうか。
近年では後述する硬質塩化ビニル管(塩ビ管)が下水道管の大半を占めていますが、現在でも推進工法や内径1,000mを超えるような大径幹線水路においては、このヒューム管が用いられることが多いです。
このヒューム管についてより詳しく知りたい方は、全国ヒューム管協会のホームページをご覧になっていただければ、よくわかると思います。
硬質塩化ビニル管(塩ビ管・塩ビパイプ)とは?
硬質塩化ビニル管とは、一言で言うとプラスチック製の管のことを指します。
呼び方が様々で、VP管(HIVP管)、塩ビ管、塩ビパイプ、エスロンパイプと呼称されることもあります。
以前、当サイトで電気工事に使うVE管という管について解説しましたが、材質としては同じようなものです。
この塩ビ管は水道管として非常に優秀で、軽量で耐久性・施工性ともに良く、ヒューム管と比較すると同一内径でも流量が多いのが特徴です。
JIS規格として定められており、強度も充分であることが保証されていますが、やはりヒューム管や金属管などに比べると劣ります。
耐薬品性なども、通常の塩ビ管においては無いことが普通です。
よほど特殊な環境でない限りは、下水道ではほとんどの場合この塩ビ管が使われています。
管材屋さんでは、ほぼ100%この塩ビ管とその付属品(継手など)が在庫として置かれていますね。
塩ビ管の代表的なメーカーは、知る人ぞ知る積水化学工業(SEKISUI)ですね。他にもいくつかメーカーは存在しますが、一番有名なのがセキスイだと思います。
この塩ビ管については、また別の記事で詳しく解説していければ、と考えています。
下水道管の施工方法について
最後に、下水道管の施工について簡単に説明していきますね。
下水道管は、定められた流速の範囲内で自然に流れていくように勾配がつけられます。
勾配とは、管の端から端までスムーズに流れるように落差をつけることです。レベルバンド(フロアバンド)等を使用して勾配をつけることになりますが、それに関しては別記事で説明することにしましょう。
流速は汚水管渠で0.6~3.0m/秒、雨水管渠や合流管渠で0.8~3.0m/秒となるように排水のルートを作ります。
下水道管は下流に行くほど水量も多くなっていくので、管径は太くなり、流速、水量は共に安定しているので、勾配は緩くなります。
また、下水道管の要所にはマンホールを設ける必要がありますが、勾配によって埋設深度が深くなりすぎると維持管理が大変になってしまうので、ある程度の深さで圧送管やポンプによって下水を引き上げて、再び排水することになります。
おわりに
今回は下水道管、とりわけヒューム管・塩ビ管について、初心者にもわかりやすく説明してみたつもりです。いかがだったでしょうか。
もう少し詳しく説明してほしい!とか、ここが意味不明!とかありましたら、遠慮なくコメントしてください!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!