下水道の仕組みに関しては上水道・下水道の仕組みを出来る限りわかりやすく解説してみる。という記事で説明しましたが、今回はもう少し細かいところに焦点を当てて、下水道で使われる排水管と、排水設備の仕組みについて説明していこうと思います。
排水管の種類と材質
前回、給水管・給湯管・配管継手の種類まとめという記事で給水管・給湯管にはいくつもの種類があるということを書きましたが、排水管も例外ではなく、様々な種類・材料があります。
まず塩ビ管(プラスチック製)類のものでいうと、耐食性に優れた硬質ポリ塩化ビニル管(肉薄管)=VU管や水道用硬質ポリ塩化ビニル管=VP管などがあります。
どちらかというと、排水においてはVU管のほうが主流だと思います。
鋼管(金属管)でいうと、通称ガス管とも呼ばれる耐熱性にすぐれた配管用炭素鋼鋼管や、塩ビ管の内観に鋼管の外管をとりつけ、鋼管の耐熱性と塩ビ管の耐食性を兼ね備えた配水用硬質ビニルライニング鋼管があります。
また、塩ビ管の内径に繊維モルタルの外管をとりつけて、遮音性・耐食性・耐火性にすぐれていて、さらに吸水性がある=結露に強い耐火二層管というものもあります。
排水管は、設置する箇所によってその名称が変わります。
たとえば排水管を縦に配置すれば配水立て管といったり、建物内の排水が集結し、屋外排水設備に運ぶための横引き管を配水横主管といったりします。
どのような流れで運ばれていくか、ということについては次項で説明しますが、排水管の配置の仕方によって呼び方は変わっても、基本的に使う管の種類は同じだと思ってください。
で、なおかつ一番良く使われるのはやはり塩ビ管です。
理由としては、軽量であり施工性が良いことと、価格が安いということが挙げられます。
あとは、状況・環境に応じて鋼管や耐火二層管を使ったりする、という感じですね。
それからもう一つ。少し毛色は違いますが、エアコンによって出る水を排出する排水管として、ドレン管というものもあります。
ドレン管については、別記事で詳しく説明していますので、参考にしてみてくださいね。
排水設備の仕組み
下水道というのは、市区町村などで管理する公共下水道と、個人で所有する排水設備の2つに分けられます。
次の図を見てもらえばわかっていただけるかと思いますが、公共枡を境目に、個人所有の排水設備と、市町村所有の公共下水道という扱いになります。
公共下水道は自治体に任せておけばOKですが、自分の敷地内の排水設備に関しては、個人で設置・維持管理をする必要があるのです。(もちろん、工事屋さんに頼むことになりますが)
次に汚水の配管ルートについて画像を用いて説明します。
さきほど排水管の設置の仕方によって呼び方が変わると書きましたが、具体的には次の図のようになります。
上の階の衛星器具からの汚水が排水横枝管を通って排水立て管で下の階の排水横主管に送られて、排水横主管から公共枡へと集められていきます。
雨水については、雨水排水立て管を経由して雨水桝へ集められていきます。
敷地内における排水設備では、とにかくスムーズに汚水を排除することが求められます。
スムーズに排水するためには、勾配(傾き)が必要になります。
管の径の大きさによって、勾配は変わってきます。
どの箇所にどの径の管を使えばいいのか、また、管径によってどの程度の勾配をつければいいのか、ということについては、次の表を参考にしてください。(表は前澤HPより借用)
配管工事に携わる人でなければ、ここまで細かい数字を覚える必要はありませんが、一つだけポイントとして押さえておくと良いのは、下流のほうが径は大きいと覚えておきましょう。
下の方にいくにつれて管径を大きくしないと、汚物や異物が詰まる原因となってしまいます。
下流方向の径が、上流の管径よりも小さくなってしまうような接続の仕方はありえません。
それだけでもいいので、覚えておくと良いかもしれませんね。
おわりに
今回は排水設備と排水管についてお話しました。いかがだったでしょうか。
今回の文章を書いていくにあたって、前澤化成工業様のホームページを大いに参考にさせていただきました。
もっと詳しく知りたいという方は、そちらのほうも合わせてみてみると良いと思います。