上水の水道管の代表的なものに「ダクタイル鋳鉄管」や「水道配水用ポリエチレン管(高密度ポリエチレン管)」などがあります。
そこで今回は、このダグタイル鋳鉄管・ポリエチレン管とはどのようなものなのか、その概要と施工について簡単に説明してみようと思います。
ダクタイル鋳鉄管とは
まずはダクタイル鋳鉄管がどのような管なのかということについて、言葉の意味から考えていくことにします。
ダクタイル(ductile)とは「引き伸ばせる、延性の」「柔軟な、しなやかな」という意味を持つ形容詞です。
鋳鉄とは鉄・炭素・ケイ素を含む合金のことです。
これら言葉の意味からもなんとなーく推測は可能かもしれませんが、ダグタイル鋳鉄管とは、組織中の炭素を球状化することで、強度や延性を改良した金属管のことをいいます。
昔の鋳鉄管よりも靭性・耐久性が向上しているため、現在では広くこのダクタイル鋳鉄管が水道管として使用されています。
もちろん水道管に限らず、農業用水やガス管など、幅広く利用されています。
で、このダクタイル鋳鉄管を使用するメリット(長所)とデメリット(短所)についてですが、例のごとくWikipedia大先生によってわかりやすくまとめられていましたので、そちらのほうを引用させていただきます。
☆長所
- 強度が強い。強靭性あり。衝撃に強い。
- 金属の中では腐食に強い。電食(電気)による影響を受けにくい。
- 継手が伸縮性と可とう性を持っている。
- 施工性がよい。
☆短所
- 重量が比較的重い。
- 耐腐食性はあまり無いため、土壌が腐食性の場合には外面防食が必要となる。
こんなところですね。
正直水道管としての能力は申し分ないのですが、数多くある長所以上に「重量が重い」というのが大変なデメリットであると思います。
「比較的重い」との記述がありますが、当然金属製の管ですから、かなり重いです。
その「重い」という弱点を克服しているものが、次の項目に登場する高密度ポリエチレン管になります。
水道配水用ポリエチレン管(高密度ポリエチレン管)とは?
水道配水用ポリエチレン管は、高密度ポリエチレン管とも呼ばれ、軽量で、柔軟性や耐食性に優れた配水管です。
代表的メーカーとしてはセキスイやクボタなどの製品が世の中には多く出回っています。
特徴としては、もちろん強度(耐衝撃性)、耐腐食性については鋳鉄管には劣りますが(追記:耐食性に関してはPE管の方が優れているとのご指摘をいただきました)、なんといっても軽いことが最大の強みです。
水道用に特化するのであればこのポリエチレン管のほうが施工性・重量ともに優れているため、広く使われています。
と、水道配水用ポリエチレン管自体の説明については以上になります。
これだけではちょっと短すぎるので、ここで「ポリエチレン管」についても言及しておきましょう。
そもそも「ポリエチレン」とは、プラスチック素材の中において最も原料価格が安く加工しやすい素材のひとつです。
スーパーのビニール袋とかタッパーとか、日常的に使われているプラスチック製品のほとんどがポリエチレン製と言っても良いでしょう。
で、そのポリエチレンにも色々な種類があって、より硬質で加工性に優れたものを「高密度ポリエチレン」と呼びます。
そして、その高密度ポリエチレンを原料とした管が、ポリエチレン管なのです。
実は、一口にポリエチレン管といっても、今回の水道配水用ポリエチレン管もあれば、ガス用ポリエチレン管、架橋ポリエチレン管など、またまたいくつか種類が分かれています。
架橋ポリエチレン管については、いずれ当サイトで詳しく解説していければと考えております。
配水管の施工
配水管は、原則として地中に埋設して敷設します。
やむをえず露出するような場合は、保温被覆した鋼管による保護管を支持金物などで固定します。
道路における配水管の埋設深さは、国道・県道においては1.2m以上、市道・町道は0.9m以上、そして歩道では0.9m以上確保する必要があります。
建物の敷地内で車両が通過できる場合は原則0.6m以上、車両の通過・侵入ができない場合は0.45m以上の埋設深さを確保します。
なお、寒冷地の敷地内などでは0.45mでは凍結する場合もありますので、状況に応じて各地の凍結深度により深く埋設します。
おわりに
今回は、上水水道管の代表格である「ダクタイル鋳鉄管」「高密度ポリエチレン管」について、極力わかりやすく説明してみたつもりです。
不明な点や間違っている点などございましたら、コメントにてご指摘いただけるとありがたいです。