今回は電線とケーブルについて、その概要と種類、違いについて簡単に説明していこうと思います。
まず電線についてですが、「電気設備の技術基準の解釈」では、以下のように定義されています。
強電流電気の伝送に使用する電気導体、絶縁物で被覆した電気導体または絶縁物で被覆した上を保護被覆で保護した電気導体をいう
つまり、一言で言うと導体材料が絶縁体である保護被覆に覆われているものを電線といいます。
それに対して、導体に絶縁を施した複数本の絶縁電線を保護するシースと呼ばれている被覆(保護外被覆)を施した電線をケーブルと呼びます。
シースはケーブルの最も外側の被覆なので電線の絶縁体をさらに保護します。また、電線を構成している素材や芯の数が変わることによって許容電流も変化します。
以上が電線とケーブルの概要になりますが、これでもまだ少しわかりにくいという方が多いと思います。
そこで、電線とケーブルの違いと、それぞれの種類について、超簡単に解説していきましょう。
電線とケーブルの違い
電線とケーブルの違いは?という疑問についてですが、端的に言うのであれば、「電線はケーブルの一種である」ということです。
例えるのであれば、スパゲッティはパスタの一種ですよね。
スパゲッティが電線、パスタがケーブルみたいなものです。
一口にケーブルといっても、本当に色々なケーブルがあるわけです。
一番身近なところでいえば、USBケーブルなんかもケーブルの一種ですね。
それに対して、電線は内部が金属製であり、電気を通して電力・信号を伝えるという特化された条件のあるケーブルのことをいいます。
冒頭に書いた概要がその条件に当てはまります。
電線の種類
まず電線には、単線とより線の2種類から成る、ということを覚えておいてください。
単線とは、中身が一本の銅線からなるもので、より線は内部が複数の銅線で構成されているものをいいます。
単線の特長としては、機械的衝動に強いことと、配線がしやすいこと。
より線の特長は、柔らかく移動が容易であり、加工しやすいということです。
で、その銅線を覆う絶縁被覆にもいくつか種類があります。代表的なものがビニールですが、もちろんそれだけではありません。
連続最高使用温度が低い方から順に挙げていくと、天然ゴム・ビニル・ポリエチレン・エチレンプロピレンゴム・耐熱ビニル・架橋ポリエチレン・クロロスルホン化ポリエチレンゴム・シリコーンゴム・テフロンの9つが一般的な被覆として扱われています。
ちなみに天然ゴムとビニルは連続最高使用温度が60℃であるのに対し、シリコーンゴムは180℃、テフロンは260℃となっています。当然ですが絶縁物もその種類によって耐熱性はまったく異なる、ということですね。
次に電線の構造についてですが、こちらも5種類の構造からなっています。これについては、文章で説明するよりも図を交えた表で見た方がわかりやすいと思いますので、「電気工事が一番わかる」という本より抜粋させていただきます。
ケーブルの種類(VVF・VVR等)
さて次はケーブルの種類についてですが、ケーブルは環境や用途に応じて柔らかさと強さが変わります。
これについても、表で見ていただく方がわかりやすいので、同じ教科書より抜粋して載せていきます。
この表の中で特記すべきは、一番上の2つ、VVFケーブルとVVRケーブルでしょう。
VVFとVVRは屋内・屋外・地中用と、ありとあらゆる場所で使われています。
わかりやすくいうと、VVFは平形、VVRは丸形ということです。
VVFは「Vinyl insulated Vinyl sheathed Flat-type cable」の略で、
VVRは「Vinyl insulated Vinyl sheathed Round-type cable」の頭文字をとった名称です。
VVFのFはフラット(平ら)のF、VVRのRはラウンド(丸)のRと覚えましょう。
こう考えるとすごく単純でわかりやすいですね。
おわりに
電気工事において、電線とケーブルは最重要材料であるといっても良いでしょう。
すべての電材はこの電線とケーブルからスタートします。
電線管も然り、ボックスも然り、工具も然り。
電材は電気を運んでくる道を作り、保護するためのものが大半ですので、その電気・信号を運んでくる電線ケーブルは必然的に重要な材料となるのです。
本当に基本中の基本しか書いていないので恐縮ですが、少しでも電線のことがわかっていただければ幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。