通気弁とは、排水管内部に必要な空気を取り入れたり、不要な空気を外へ排出したりするための配管部材です。
排水管を通る排水の流れをスムーズにし、排水トラップの破封を防ぐ役割を果たします。
通気弁は吸気弁や排気弁とも呼ばれたりしますが、これらはイコールではありません。
両者の違いについては後述しますが、吸気弁は負圧専用、排気弁は正圧専用となり、通気弁とはこの吸気弁・排気弁の総称ということになります。
この記事では、通気弁の仕組みや種類、代表的なメーカーとその特徴について、出来る限り端的にまとめてみます。
なぜ通気弁(吸気弁・排気弁)が必要なのか
「通気弁とは何か」「どういう役割を果たすのか」ということについては冒頭に書いた通りですが、もう少しだけ詳しく説明していきましょう。
まずは、通気弁が必要である理由について書いていきます。
次の項目で管内の正圧・負圧について詳しく説明しますが、トイレや台所、お風呂の水を流す(排水する)と、水だけでなく、周りの空気や異物なども流れていってしまうことがあります。
空気や異物が流れていくと、管の中の気圧が変化し、水が逆流したり、水が流れにくくなったり、トラップが破封し異臭が部屋に流れ込んでしまう原因となってしまうことがあります。
それを防ぐために、通気弁が必要になるのです。
通気弁があれば、排水管内の余計な空気を弁から排出したり必要な空気を取り入れたりすることで、管内の気圧を正常な状態に維持することができます。
通気弁には、必要な空気を取り入れる吸気弁と、不要な空気を排出する排気弁の2種類があります。
多くの場合は必要な空気を取り入れる吸気弁であり、業界で「通気弁」と言うと、基本的には吸気弁のことを指すことが多いです。
排水管内の正圧・負圧について
次に、排水における正圧・負圧について簡単に説明していきます。
まず正圧とは、配管内の空気の圧力(気圧)が大きくなることを言います。
次の図を見てみるとイメージがしやすいでしょう。
気圧が大きい、すなわち管内の空気量が多いため、水に挟まれた空気は行き場を無くし、(通気弁を設置していない場合は)結果的にトラップから空気が逃げていくことになります。
つまりこの時にはね出し作用が発生し、破封の原因となる=臭気が室内へと漏れる原因となってしまうのです。
正圧が起きてしまう原因は、縦管内に一気に大量に排水した場合に、水と一緒に空気が排水管の中に大量に入り込んでしまうことなどが一番多いです。
したがって、高層のマンションやビルなどでは管内が正圧になり、通気弁(排気弁)が必要となるケースがあります。
次に負圧ですが、これは正圧の反対ですから、配管内の気圧が小さくなる状態のことを指します。
配管における負圧については、次の図を見るのが一番わかりやすいと思います。
高層の建物でない限り、基本的に排水をすると多くの場合は管内が負圧となります。ですから、この時に通気弁(吸気弁)を設置していないと、破封の原因である吸出し作用が起きる可能性が高くなります。
以上が、正圧・負圧の解説となります。
覚えておくべき点は
正圧→排気弁を使用
負圧→吸気弁を使用
という点ですね。
なおかつ、一般的には排水管内は負圧になるパターンが多い、ということも合わせて覚えておくと良いかもしれません。
通気弁の代表的なメーカー
最後に、通気弁の代表的なメーカーをいくつかご紹介していきます。
まず、通気弁のトップシェアを誇る森永エンジニアリング株式会社のドルゴ通気弁
そして、次に有名なのが前澤化成の吸気弁とキッツの通気番です。
また、電材メーカーの未来工業も、「通気スイスイ」という通気弁を取り扱っていますね。
他にもベンやタイガーなど、多くのメーカーが通気弁を取り扱っています。
結局どの通気弁が一番良いのか、ということは、やはり状況によります。
それぞれのメーカー品について、より詳しいことを知りたい方は、各メーカーのホームページで確認するか、問い合わせてみるのが一番だと思います。
おわりに
今回は、排水配管において非常に重要な役割を果たす通気弁について、その仕組みとメーカーについて解説していきました。
また何か追記次項等ありましたら、随時更新していくつもりです。
何か通気弁に関する情報や、指摘する点などございましたら、コメントをいただけると助かります。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。