ケーブルラックとは、分電盤や配電盤から出る大量のケーブルを乗せて敷設するためのラックです。
工事業に携わっていない人たちからすると、ケーブルラックなんてものは普段私たちが目にする機会は少ないだろう、と考えているかもしれませんが、実は意外なところで使われていることがあります。
一番手っ取り早いのは、少し大きめの駅のプラットホームで上を見てみると、見つかる可能性が高いです。
こんな感じで敷設されています。
今回はこのケーブルラックについて、簡単に解説していくことにしましょう。
目次
ケーブルラックの用途と使用する場所
前述したようにケーブルラックとは大量のケーブル類をのせて敷設するための部材です。
ケーブル用のラック=棚ですので、意味としてもそのまんまですね。
当ブログではこれまで電線・ケーブルを敷設する際は電線管で保護して施工するか転がし配線といったやり方しか紹介していなかったのですが、ケーブルの量が多い場所で、なおかつころがし配線が出来ないような状況下(天井が無い等)・ころがし配線したくないような状況下ではこのケーブルラックを使用するのが一般的となっています。
それでは具体的にどういった現場でこのケーブルラックが使われているのか、いくつか例を紹介します。
駅のプラットホーム
トンネル
立体駐車場
大きめの橋(レインボーブリッジや横浜ベイブリッジ等)
工場
この他にもオフィスビルや病院、大学施設などがあります。
また、電気室や機械室等から上下階への渡り部分、分電盤や動力制御盤の立ち上がり、ケーブル配線が特に集中する場所等でも使われています。
ともかく、比較的大きくて、なおかつ電気を大量に使用する機会がある建造物には、たいていこのケーブルラックが使われていると考えて良いでしょう。
ケーブルラックの特徴・材質・種類
次にケーブルラックの種類や材質について説明していきます。
ケーブルラックの基本形状としては、縦の親桁と親桁間に渡した子桁から構成されて、梯子のような形になっています。
これをはしご形ケーブルラックといい、単にケーブルラックと言ったら、この「はしご形ケーブルラック」を想像して問題無いでしょう。
もう一つ、はしご形と双璧をなすものに、敷設しても下からケーブルの姿形が確認出来ないトレー形ケーブルラックがありますね。
他の種類としては、ケーブルを配電盤の上面より立ち上げて施工したり階をまたいで施工するときに使う立ち上がり施工用ケーブルラックというものがあります。
さてここで、一般的によく使われる「はしご形」と「トレー形」それぞれの特徴(長所と短所)を以下に箇条書きします。
はしご形ケーブルラックの特徴(メリット・デメリット)
・ケーブルの支持固定が簡単
・縦向き横向きどちらでも施工OK
・種類が圧倒的に豊富
・下から見上げるとケーブルが丸見えなので、美観を損ねる(デメリット)
トレー形ケーブルラックの特徴(メリット・デメリット)
・下から見上げてもケーブルが隠れている(見栄えが良い)
・ケーブルに触れにくいので、露出場所でも安全性が高い
・はしご形に比べると種類が少なく、施工自由度も低い(デメリット)
特徴としては以上になります。
次に材質についてですが、主に鋼製、ステンレス製、アルミ製等の金属製と、FRP等の合成樹脂製が存在します。
当然ながら材質の違いによって価格や耐候性などが変わってきますので、使用環境(温度・湿度・屋内・屋外など)による使い分けが必要になりますので注意が必要です。
ケーブルラックのメーカー
最後に、ケーブルラックを取り扱っているおすすめメーカーをご紹介させていただきます。
まずはケーブルラックの代表的メーカーネグロス電工です。
さすがはネグロス、といったところでしょうか、ケーブルラックの種類が豊富であるばかりでなく技術資料がこれでもかというほど用意されており、敷設要領のみならず技術情報もたくさん公開されています。
カタログを読んでいただければ実感できるかと思いますが、メーカーとしてこれだけの情報量を載せているのは素晴らしいことだと思います。
2番目に推したいのがカナフジ電工のケーブルラックです。
メーカーとしてもケーブルラックを主力製品かつ看板製品として前面に打ち出しているだけあって、材質・種類ともに一級品です。
他にも、電機業界の王様パナソニックからも安定的クオリティのケーブルラックが出ていますし、未来工業ではヨーロッパのデザインを取り入れた斬新でオシャレなケーブルラックを取り扱っているようです。
気になる方は、各メーカーさんのホームページ・カタログ等チェックしてみてくださいね。
おわりに
今回はケーブルラックについて、出来る限り電気工事初心者にもわかるように解説してみました。
少しでもわからない点や、これ違くね?等の指摘がございましたら、些細なことでも構いませんので、コメントいただけると嬉しいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。