電線管には、金属製・樹脂製があり、さらにそれぞれ直管と可とう管がある、ということはこちらの記事で紹介した通りですが、
今回はその中の金属製可とう電線管(以下:プリカチューブ)について、簡単に説明していきます。
金属製可とう電線管(プリカチューブ)とは
まず、プリカチューブの用途についてですが、電線管の用途と同じ、つまり電線・ケーブルの保護ですね。
特徴としては、金属製であり、なおかつ可とう性がある(曲がる)という点です。
「金属」と聞くと、多くの人が硬くて丈夫で曲がらないというイメージを持っているかもしれませんが、このプリカチューブだけは性質が違います。
樹脂管・金属管・可とう管のメリット・デメリットについては、これまで書いてきた記事を参考にしてもらえればと思います。
が、復習の意味も込めてこの金属製可とう電線管にはどのような長所・短所があるのか、あらためて箇条書きで確認してみましょう。
◎金属製可とう管のメリット
- 可とう性があり、施工の自由度が高い。
- PF管・CD管に比べて使用温度範囲が広く、耐候性が高い。
- 金属だけどナイフで切れる。(※プリカナイフを使用)
◎金属製可とう管のデメリット
- 金属製なので、やはり樹脂製に比べると重い。
- 直線の配管には向いていない。
- 価格が高い。
それぞれ3つに絞って長所短所を挙げると、こうなります。
超簡単に言うと、金属製の良いところと可とう性の良いところを兼ね備えているけど、値段は高いよ!ってことですね。
代償は大きいですが、そのかわり施工性・耐候性・耐温度性・耐衝撃性は電線管の中でもトップクラスです。
プリカチューブの種類
プリカチューブは3種類あります。
非防水の標準品プリカ(PZ)、標準防水プリカ(PV)、耐候/耐寒プリカ(PE)の3つです。
それぞれの特長と使用温度範囲・材質・色等書いていこうと思っていたのですが、プリカチューブの開発メーカーである三桂製作所さんのカタログにそれらがわかりやすくまとめてある早見表なるものがあったので、それをお借りしようと思います。
この表を見れば、だいたいの概要が掴めるかと思います。
ちなみに付属品についてですが、当然非防水プリカにはそれ専用のコネクタ、防水プリカには防水コネクタといったように、細かく設定されたものが存在していますので、選定の際はカタログをしっかりと読んだり、メーカーさんに確認したほうが良さそうです。
マシンフレキとは?
最後に、金属製可とう電線管の項目とはほとんど関係無いのですが、「マシンフレキって何?」とか、「プリカチューブと何が違うの?」なんていう質問が、初心者の工事屋さん・電材屋さんの間で多いように思えますので、簡単に説明しておきます。
マシンフレキというのは、未来工業株式会社の商標です。未来工業のカタログから概要を引用させていただきますと、「産業用工作機、ロボットなど可動部をもつ機械まわりのケーブル保護管や、 工場内への電線管として使用できる自己消火性の可とう管」とのことです。
これまでの記事を読んでいただいた方にはわかると思いますが、要するにプリカチューブとは全く別物だということがわかるでしょう。
両者の一番の違いは、プリカはJIS製品であるのに対し、マシンフレキはJIS規格が存在しないことでしょう。そもそもの話をしてしまえば、プリカチューブは金属製ですが、マシンフレキは樹脂製です。
ただ、機械まわりのケーブル保護という点では、共通しています。工場内や機械まわりで可とう管を使いたい場合はCD・PF管は不向きです。
したがって、必然的にマシンフレキかプリカチューブかの2択に迫られるかと思いますが、どちらを使うかは工事屋さんや設計士さんの匙加減、ということになりますね。
敢えて言うのであれば、プリカのほうが直射日光や温度に強いので、屋外で使用する場合はプリカのほうがいいかもしれません。
まとめ
プリカチューブとは、金属製可とう電線管のことであり、施工の自由度が高く、直射日光にも温度の変化にも衝撃にも強く優秀な電線管ですが、価格は高い!というのが今回のまとめになります。
ついでにマシンフレキの説明もしてしまいましたが、マシンフレキは種類としては「合成樹脂可とう電線管」に分類されますので、誤解の無いようにお願いいたします。