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以前、エアコン配管で最重要とも言えるドレン管(ドレンホース)と冷媒管(ペアコイル)に関する記事を書きましたが、「そもそもエアコンってどういう原理で部屋を涼しくしたり暖かくしたりしてるんや?」というお話を理解していないと、ドレン管や冷媒管についても完全に理解したことにはなりません。
そこで今回は、エアコン配管の補足的な内容となりますが、エアコンの仕組み=ヒートポンプの原理について、出来る限りわかりやすく、簡潔に説明してみようと思います。
ヒートポンプの原理
ヒートポンプとは、液体が気化する時に周りの熱を奪い、逆に、気体が液体に凝縮する時には周囲の熱を放出する化学反応のことです。
なんだか概要だけ聞くと、難しそうに聞こえますよね。
ではヒートポンプの詳しいお話をする前に、昔(エアコンが無い時代)は、どうやって涼しい環境を作り出していたか、ということについて考えてみましょう。
一番単純なのは「風」ですね。
うちわや扇子で仰ぐことによって、風をおこして涼しさを感じるという手段は、現在も扇風機や送風機などを使用して行われています。
が、それは風を身体に直接当てて体感的に涼しくなっているだけで、実際に気温が下がっているわけではありません。
では、他にどのような方法があったのか。
日本という国では、昔から「打ち水」という慣習がありますよね。
建物の周囲に水を撒くことで涼しくなるという方法です。
もちろん現在もやっている人が多くいますし、暑い地域では自動的に散水させて涼しい環境を作るミストシャワーなんていうのもありますね。
なぜ「打ち水」や「ミストシャワー」をやると、涼しくなるのか、考えたことってあります?
「冷たい水を撒くんだから、涼しくなって当然だろ?」とお考えの方。
その通りなのです。
難しく考えることはありません。
それがヒートポンプの原理なのです。
暑いと、水は蒸発しますよね。
実は水には、蒸発する際に空気中の熱を奪って冷却効果を発揮する、という性質があるのです。
基本的に暑い・寒いという気温の変化は「熱の移動」で考えます
水が冷たいから周囲を冷たくするのではなく、周囲の熱の吸収と交換条件に水が蒸発している、ということですね。
ヒートポンプの原理は、水(液体)の熱移動の性質そのもの、ということです。
もっと具体的な例を出すと、私たちの体は、暑くなると「汗」が出ますよね?
汗(液体)を皮膚から出すことによって、身体の熱と周囲の熱を奪い、身体を冷やそうとする、生物の生命維持活動が、この発汗作用なのです。
汗をかいて放置していると、だんだん涼しくなる…というか、寒くなってきますよね?
これも、ヒートポンプの原理と似ているのです。
私たち人間は、打ち水によってヒートポンプの原理を利用していただけでなく、人類が誕生した時点で、身体がヒートポンプの原理で冷えるということを本能的に知っていたのです。
エアコンの仕組み
ではここから、エアコンの仕組みについて解説していきましょう。
基本的にエアコンは室外機と室内機の2つがセットとなっています。
室外機には圧縮機と熱交換器(凝縮器)、室内機には膨張弁と熱交換器(蒸発器)が内蔵されています。
そして、室内機と室外機は冷媒管(ペアコイル)で繋がれていて、冷媒(フロン)が熱を運ぶ「乗り物」のような役割を果たします。
※冷媒(フロン)について知りたい方は、ダイキンHPを参考にしてみてください。
エアコンは、これらの機器と冷媒によって、ヒートポンプサイクルを起こし、冷暖房の調節をしているのです。
ではここで、冷房(クーラー)運転時の流れを、順を追って説明していきます。
①冷房の運転を開始すると、室外機の圧縮機で冷媒が高温高圧の気体となる。
↓
②高温高圧の気体冷媒が、熱交換器で熱を奪い取られ(放熱)、液体となる。
↓
③液体となった冷媒を、室内機の膨張弁に通すことで、減圧して低温低圧の液体となる。
↓
④低温低圧になった冷媒を室内機の熱交換器で気化し、室内の熱を奪って、熱交換器の温度が低下する。この時に冷たくなった熱交換器にファンで風を送ることで、室内機から冷風が送られる。
↓
⑤気体となった冷媒は熱を帯びて再び室外機の圧縮機へ送られる。
以上が、冷房を運転した際のヒートポンプサイクルです。
漢字が多くて「???」となった方もいらっしゃるかもしれませんが、要するにさきほどの「打ち水」や「汗」の原理を人工的に機械で起こしている、と考えてください。
こういった経緯もあり、冷房時には室内機から冷風・室外機から熱風が出て、暖房時にはその逆が起こるのですね。
おわりに
今回は、ヒートポンプの原理について、かなりかみ砕いて説明してみました。
実は、この記事よりもわかりやすく説明しているのがダイキンHPのこちらのページです。
エアコンのトップメーカーである上に、漫画形式でわかりやすいので、こっちを読んだ方が早かったかもしれません。(笑)
拙い文章でしたが、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。