電気工事において、電線・ケーブル・電線管を、形状や重量に対応して構造体に指示・固定する部材(ケーブル支持材・ケーブル支持金具)が必要になることがあります。
代表的なものに、絶縁ステップルやネグロスのパイラックといったものがあります。
これらは電気工事業界ではすっかりお馴染みの基本的な部材ではありますが、電気工事・電材業界初心者の方や、この業界に無縁の人にとっては、何のことやらさっぱりわからないことでしょう。
そこで今回は、電気工事でよく使用するケーブル支持金具について、その用途や使い方をまとめていくことにします。
絶縁ステップル
絶縁ステップルとは、電線・ケーブルを挟み込んで、造営材(壁・柱・床・天井など)に打ち付けて支持する部材です。
電気工事屋さんや電材屋さんの場合、ただ単に「ステップル」と呼ぶことが多いです。
ステップルの語源としてホチキスの針stapleがありますが、日本においては、これをカタカナでステップルと呼ぶだけで電気工事における絶縁ステップルを指すのですね。
絶縁ステップルを使用する際に、ケーブルの直径が20mm以下の場合は支持間隔を50cm以下とする必要があります。
ステップルの打ち方についてですが、まずは指で挿し込めるだけ挿し込み、その後にハンマーで打ち付けると指をケガする心配がなくなります。
また、絶縁ステップルの代表的なメーカーはカワグチです。
豊富な素材・サイズ・色を揃えており、全国的にもトップシェアを誇っています。
パイラック
パイラックとは、アングル鋼やエッチ鋼といった鉄骨(一般形鋼材)に、電線管や吊りボルトを取り付けるための支持金具です。基本的にパイラッククリップと併用して使用します。
業界的に「パイラック」という名称で知れ渡っていますが、パイラックとはネグロス電工の商標です。
推測ですが、π(パイ)という文字の形をした支持金具であることから、パイラックという名前がついたのだと考えられます。
ネグロスの他にパナソニックやアカギ、日栄インテック、未来工業なども同等の製品を取り扱っており、各メーカーとも「一般形鋼用管支持金具」といったような堅苦しい名称となっています。
やはり先駆者であるネグロスの種類の豊富さにはどのメーカーも敵わないため、よほどのことが無い限りは、ほとんどの電気工事屋さんがネグロスのパイラックを使用しているはずです。
パイラックの使い方は、まずパイラックを鉄骨に固定し、そこにパイラッククリップを取り付けて電線管や吊りボルトを架けます。
ケーブルハンガー
ケーブルハンガーとは、少量の電線・ケーブルを敷設する際に使用する部材です。
電線管や線ぴで保護することを想定していませんので、露出配線用の部材となります。
役割としては、ケーブルラックと同じような感じだと思っていただければわかりやすいかもしれません。
吊りボルト・寸切ボルト・全ネジに取り付けるタイプや、造営材にビスやネジで打ち付けるタイプのものがあります。材料としては金属製のものと樹脂製のものがあります。
こちらもやはり代表的なメーカーはネグロス電工ですが、日動電工や未来工業もほとんど同じ部材を取り扱っています。
その他のケーブル支持具
フィクスチュアスタッド
アウトレットボックスの外側から差し込んで、内側からロックナットで固定し、重い照明器具等を、ボルトをねじ込んで支持固定する部材です。
アンカーボルト
頭部を叩き込んでコンクリートに固定し、本体のボルトに差し込まれた支持物をナットで締め付けて支持固定する部材です。
ダクターチャンネル
電線管やケーブルラック、ダクト等を支持する際に使用します。ダクタークリップと併用。
低圧ノップ碍子
本体をボルトで造営材に固定して、電線を溝に合わせてバインド線で締め付けて支持します。
おわりに
今回は電気工事でよく使われるケーブル支持具をまとめてみました。
出来る限り初心者にもわかるように解説したつもりですが、これを読んでもまだよくわからないことがありましたら、コメントで質問していただければわかる範囲でお答えします。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。